k_9_3

ユメちゃんの失敗

ごっこ遊び大好き、花種さん。役も台詞も指示され、台本・演出・監督中村花種による舞台作品の練習をしている気分になるこの遊び、わたしには10分が限界です。忍耐力も演技力も高いひょーさんは隙あらば誘われ、「リボンちゃんとユメちゃん」ごっこが繰り広げられる毎日。
花種さん演じるお姉さんのリボンちゃんと、ひょーさん演じる妹のユメちゃんが登場し、基本ユメちゃんがリボンちゃんの背中を追いかける内容。「リボンた〜〜〜ん、まって〜〜〜」とか街中でも言わされる34歳のひょーさん、がんばっている…。
そんなひょーさんの昔からの欠点は物事の確認を怠るところです。外食すると「え…温かいそばだったの?冷たいとおもってた」とか「え…クルミとチョコのケーキだったの?クルミだけかとおもってた」と毎度毎度、ここに書いてあるのに!と思うのですが、自分の失敗だったらまあしょうがない、で済むからいいです。ですが花種さんが絡むとそうはいきません。
近頃いろいろがんばったご褒美にと2人でおもちゃを買いに行き、花種さんが抱えて帰ってきたのは人気アニメの宝石箱。パッケージ写真では宝石箱の中に宝石がずらりと並んでいます。アニメに出てくるその宝石に憧れていた花種さんは「これ、全部はいってるんだよ〜!」と大興奮。
よかったねえ、と言いつつパッケージ上部に記載されている文字が目に入るわたし。
「本商品に宝石は入っておりません」赤字で書いてあるよ…。それは空っぽの宝石箱だったのです。「これ、宝石は入ってないって書いてあるよ」と伝えた瞬間。泣き崩れる花種さん。現実が受けとめられないひょーさん。夕暮れ時の我が家の空気、暗転…。
箱、よく見よう。日本のおもちゃ商法、よく知ろう。その後延々と花種さんに責められる気の毒なひょーさんでした…。こんな時こそユメちゃんになって許しを乞うても、失敗した時は現実にもどる。それが花種さんの定説なのです。