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こっちの世界

お腹もだいぶ目立ってきまして、時々人の目が気になったりしてしまう。妊婦と気付かれ「絶対席は譲らないからな!」と凄まれたとか、妊婦マークをみた人に蹴られたとか嘘でしょっていうようなニュースを目にすることが増えたこの数年で、だから逆にマタニティマークはカバンにつけないとか聞いたりしてると、ふと目があったオジさんになっなにか…?!とドキッとしたりする自分がいたりして。べつに何事もなくて、そんなこと思った自分を恥じる。社会を勝手に不寛容で醜いものにしちゃいけない。そんなふうに見ちゃいけない。自分が接して交わしたものが、わたしにとっての社会なんだから。
ひとつ空いた座席に花種さんが座ったら隣にいたスマートフォン見てたおねーさんが顔を上げてわたしを見て、席をどうぞって空けてくれた。赤に変わった横断歩道に風で帽子が飛ばされてって、「あ〜!」って言ってたら通りすがりのおにーさんが猛ダッシュで追いかけ取ってきてくれた。当たり前のやさしさに触れて、たすけてもらっていきてる世界。わたしが接してるのはそんな世界。わたしが信じてるのは、こっちの世界。