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おめでとうじゃん

朝から祖母の家にお線香をあげに来てくれたみなさんにご挨拶して、お昼からはお墓参りへ。車で回って今度はみなさんのお家にお線香をあげにいく。今日一日ですっかりお線香あげるの小慣れた花種さん。お墓にお菓子をお供えして、お線香たてて元気よく「おめでと〜!」と言うから「なんでおめでとうなの?」って聞いたら「え?だっていっぱい年とったからおめでとうじゃん」ですって。へえ。なんていうか、すてきな考えじゃん。
87歳のおばあちゃんは今さっきのことは忘れてしまうから、お土産のお菓子を何度でも何度でも喜んでくれる。戦争中の話になると「そうだったかなあ〜。もう忘れてしまったわ」と言って自分で笑う。昔、戦争の話をする時のおばあちゃんの遠い目を見るのが悲しくて、話をするのが怖かった。忘れてしまったわ、と笑うおばあちゃんを見て、穏やかでいられるその心にほっとしたり、する。いろんなことをくぐり抜た先で、いいことだけをなんとなく心に残せていられたなら、すごく幸せなのかもしれない。生きててくれたら、それだけでありがとう。笑ってくれてたら、それだけでありがとう。赤ちゃんとお年寄りはおんなじくらい、そんなふうに思う存在なのだなあ。